最近ここ1-2カ月ほどで患者さまから高血圧の基準値に関する質問を続けていただきました。今年の春から高血圧の基準値が変わって以前より血圧が高くても大丈夫になった、といったメディア記事があり、それを受けてのご質問のようでした。

結論を先に述べますと、現在も日本高血圧学会によれば、

高血圧症の診断基準は現在も、収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上

であり、特に変更はされておりません。

どうやら混乱のもとは、厚労省による特定健診の高血圧の受診勧奨の判定値が、令和6年度より変更されたことにあるようです。

これまで「標準的な健診・保健指導プログラム」では、140/90mmHgの基準を超えた方には、一律に速やかな医療機関受診が勧められていましたが、この春からは収縮期血圧140-160mmHgまたは拡張期血圧90-100mmHgの場合は、まず生活習慣の改善をまず試みたのち、それでも改善しない場合に医療機関の受診を勧める、というように中間領域が設定されました。この部分の変更が「高血圧の基準が160/100mmHgに緩やかになった=薬を飲まなくてもよくなった」という誤解につながっているのかもしれません。参考までに日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2019より初診時の血圧による管理計画について抜粋添付しましたのでご参考下さい。

 

(②へ続く)

O院長    

代々木上原駅前内科クリニック