高血圧の基準が緩くなった?(その②)
最近の高血圧に対する医療受診の基準変更を受けた報道では、さらに踏み込んで、日本の高血圧診断基準が海外より厳しく、また不必要な投薬がされている可能性があったといった論調もあったようです。
ここも誤解の無いよう、現在の欧米での高血圧症の診断基準を記しておきます。
アメリカの最新のガイドラインは、2017年にアメリカ心臓協会、アメリカ心臓病学会が発表したもので、大まかなところを記すと
正常血圧:120/80 mmHg未満
高血圧ステージ1:収縮期血圧130-139 mmHgまたは拡張期血圧80-89 mmHg
高血圧ステージ2:収縮期血圧140 mmHg以上または拡張期血圧90 mmHg以上
とされています。
(米国の高血圧診断基準)
治療目標は一般的な成人で130/80 mmHg未満を目指し、高リスク患者も同じ目標値としています。
欧州高血圧学会の基準も簡単には、
治療開始血圧:80歳まで140/90mmHg以上、80歳から160/90mmHg以上、降圧目標:80歳まで140/90mmHg、80歳から150/80mmHgとされています。
(欧州の高血圧診断基準)
これを見ると、日本の高血圧の基準も海外の基準とあまり変わりはないと考えてよいと思いますが(アメリカが130/80を高血圧と判断するところは若干踏み込んでいるとも言えますが)いかがでしょうか。
当院の診療方針として、患者さまの背景を考慮せずにガイドラインに掲げられた基準値の達成のみを目標に投薬することに対しては一律に好ましいとは考えておりません。しかしながら、原因と思われるライフスタイルの改善を試みても目標を超える高血圧が続く場合は、やはり降圧剤による血圧コントロールも考慮する必要はあるでしょう。(おわり)
O院長